長引く咳嗽に対してのアプローチ
咳嗽とは、気道内に貯留した分泌物や異物を気道外に排除するための生体防御反応である。
気道壁表層の咳受容体の刺激が迷走神経を介して延髄咳中枢に伝達され、咳嗽が発生します。
これは生理的咳嗽反応(反射)と理解をされておりますが、
気管支の上皮間や上皮下などの気道壁表層に分布する知覚神経終末(咳受容体:有髄神経であるAδ線維か無髄神経であるC線維かは不明)が機械的あるいは化学的に刺激されると、そのインパルスが迷走神経求心路を介して延髄の孤束核に存在する咳中枢に伝達され、咳嗽反応が惹起されます。
この古典的な気道壁表層の咳嗽反応には、反応性亢進と反応性低下があり、それぞれが病的意義を持ちます。
また、気道壁深層に存在する気管支平滑筋がトリガーとなる咳嗽反応の存在も明らかになりつつある。
気道壁表層の咳受容体感受性と気道壁深層の気管支平滑筋収縮がトリガーとなる咳嗽はそれぞれ独立した咳嗽である。
最も強力な気管支拡張作用を持つβ2刺激薬は咳受容体感受性にも咳中枢にも抑制作用を持たず、咳嗽一般に対する鎮咳作用を持たないという医学的背景が重要である。
咳嗽が頻回に強く発生した場合、肉体的・精神的苦痛となる場合が多いです。
小児のお子さんではお母様やお父様がとても心配されると思います。
逆に生体防御機能として発生しなくてはならない咳嗽が発生しない場合(咳嗽反応の低下)があり、どちらも病的意義を持ちます。
良くストレスで咳が出るという方もいますが、
それはどういうことかと言いますと、
咳中枢は大脳皮質によってもコントロールされていますので、心因性ストレスによって咳嗽が発生する場合もあるということです(心因性咳嗽、習慣性咳嗽)。
通常は正常な咳受容体感受性に過剰な刺激が加わった時に咳嗽が発生しますが、これは生体防御反応としての咳嗽(生理的咳嗽)である。
過剰刺激となるものには、気道内に貯留した過剰な分泌物(湿性咳嗽)、気道内に吸い込まれた異物や刺激性ガス(乾性咳嗽)などがあります。
あと、良く言うことですが、
咳受容体感受性が亢進していることで、弱い刺激により咳嗽が発生するという事実があります。
自然に、或いは治療によって咳嗽が軽快すると咳受容体感受性も正常化するのが特徴であります。
アトピーの患者さんではこの感受性が亢進しているということが考えられます。
気道炎症がダニやハウスダストで生じております。
柴朴湯などの漢方薬ではこの気道炎症や、気道過敏性を抑えることが出来るという報告もされており、父が以前に論文で報告をしております。
胃食道逆流症では、食道下部の知覚神経が胃酸によって刺激されると迷走神経反射を介して気道壁表層に存在する咳受容体の感受性を亢進させる可能性が示唆されています。
つまりですね、
GERD:逆流性食道炎がある方で
咳が続く方はこの胃酸による食道下部の知覚神経への刺激を抑えるために
PPIを内服するのが良いと思われます。
胃酸分泌抑制薬で咳喘息が軽快してるケースがあると思います。
胃酸が永久に食道下部を刺激し続ける限り、いくら気道の部分を吸入ステロイドやロイコトリエン受容体拮抗薬で改善をさせたとしても、あまり意味がないのではないでしょうか。(志位さんみたいな口調。。。)
お子さんの咳嗽の発生するメカニズム
高齢者で誤嚥により咳嗽が発生するメカニズム
様々な事象を常に頭の片隅に考慮しながら治療を行っていきたいと考えます♪
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